熊本とミャンマーの不思議なめぐり合わせ【dacco. Pop-Up in Kumamoto】
ある日、南阿蘇村のパン屋さんDACCO(だっこ)に、遠い町からお客さんがやってきました。
お客さんはDACCOのオーナー原園さんに挨拶をして、
「私、dacco.(だっこ)という同じ名前のお店をやってるんです」
と言いました。
「だっこ」という優しい響きの言葉を通して出会った南阿蘇村のDACCOと遠い町のdacco.
遠い町、というのは南阿蘇村から約4000kmも離れたミャンマーの都市ヤンゴンというところでした。
とっても不思議な、たった一度の出会いでしたが、二人ともどこか共鳴する思いを感じ取ったそうな。
そして今年、この素敵な出会いが一つの企画へと実を結びました。
dacco. Pop-Up in Kumamoto
DACCO bread + cafeは熊本県阿蘇郡南阿蘇村河陽にあるカフェスペースを併設するパン屋さんです。
オーナーの原園さんは南阿蘇村に移住し、この地に開業されてからもう9年になるそうです。
地元の素材にこだわってパンを作っているのは、一番自然な形でのものづくりにこだわるため。
それと同時に、地元の人の普段の暮らしに寄り添えるよう、品質や価格の維持に努めるだけでなく、憩いの場としてのスペースを提供されています。
こちらがお店の中に併設されている広いカフェスペース。
奥にある大テーブルはゆったり8人がけ!肌触りなめらかで、とっても座りごごちが良いのです。
地元の人が歓談したり仕事をしたり、子供たちがのびのびとLEGOを広げて遊んだりと、様々な用途で使われているようです。
こちらのDACCO bread + cafeさんで、2019年8月13日より期間限定のPop-Upショップが開催されています。
その名も【dacco. Poo-Up in Kumamoto】
DACCOとdacco.(ダッコ)という同じ名前のお店がコラボレーションして開催するPopUpショップです。
同じ名前のお店同士のコラボというだけでも珍しいのですが、なんと、このdacco.さん、南阿蘇村から約4000km離れたミャンマーの都市ヤンゴンにお店を構え、ハンドメイド雑貨を販売しているお店なんです。
ミャンマーと聞いてみなさんは何を思い浮かべますか?
ミャンマーってどんな国?
ミャンマーは東南アジアにある国。インド、バングラデシュ、中国、ラオス、タイと国境を接しています。
長く続いた軍事政権に代わって、2016年3月にアウンサンスーチー氏が党首を務める国民民主連盟(NLD)による新政権が発足したこともあり、急激な民主化と経済改革が進んでいます 。
2018年10月より観光目的で30日以内の滞在に限りビザが不要になり、日本人にとってさらに身近な国になりました(2020年9月30日までの予定:2019年9月現在)。
こちらはミャンマー最大の都市ヤンゴンの中心部にあるパゴダの写真です。パゴダとは仏塔を意味する英語で、パゴダの中には仏舎利(お釈迦様の骨)が納められているとされています。(ミャンマー語ではパヤー)
歴史的建築物と、開発が進む都市とが融合している様子が壮観です。スーレー・パゴダがあるダウンタウンエリアには、銀座に来たのかと錯覚するような近代的でオシャレなショッピングセンターもあるんです。
しかし経済成長といっても都市に集中しているため、郊外や農村部との貧富の差は依然大きいまま。黄金に輝く仏教寺院と、庶民の約しい暮らしのコントラストが鮮烈に感じます。
そんな中でも、ミャンマーの人の多くは人情に厚く、困っている時には見返りを求めず手を差し伸べてくれたり親身に話を聞いてくれたりと、私自身もその優しさに何度も助けられました。
DACCOの原園さんも昔知り合ったミャンマー人を通して、ミャンマーは優しい国という印象を持っていたそうです。
▶︎DACCO 原園さん
私は二人のミャンマーの方とお話ししたことがあるんですけど、素朴なイメージ、(サンプルが少なすぎてなんとも言えないんですけど)真面目な国民性という印象でした。特に食べ物について、こういうの食べてるんだよっていう話をしてくれて、ああ丁寧なくらしをされているんだなあっていう印象がありました。優しい印象ですね。
決して豊かではない暮らしの中でも、丁寧に真面目に生活していることが伝わってくるミャンマーの人たち。ミャンマーには大きくわけて8つの民族、全体では135の民族がいると言われていますが、そのそれぞれに独自の文化や伝統があります。
そうしたミャンマーのそれぞれの民族の文化を生かして、少数民族の織物や工芸品を新しい時代へと受け継いでいく取り組みを行っているのが、ヤンゴン北部のパラミ地区にお店を構えるdacco.さんです。
dacco.さんのものづくりにかける思い
dacco.のオーナー和田さんは2014年にこの地に開業されました。
こんなところに日本人?と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、実はミャンマーには2,821人(2019年3月時点)の在留邦人が暮らしており、日本人コミュニティもたくさん存在しているんです。
dacco.も、ミャンマーの方だけでなく、複数の日本の方のお手伝いにより支えられているそうです。
お店の中は洗練されたミャンマーの工芸品や雑貨でいっぱい。商品には、どの地域で作られたものか一目で分かるように説明が書いてあります。
ミャンマー各地にある素敵な文化、織物、工芸品をより多くの人に知ってもらい、地方の職人さんと消費者を繋ぐ場にもなっているんです。
その芯の通った信念や、ハイセンスで繊細な商品を通じて、ミャンマーを訪れる観光客だけでなく地元の人からも愛される大人気のお店dacco.
そんなdacco.さんがどうして熊本でPop-Upショップを開くことになったのでしょうか?
不思議な偶然から生まれたコラボレーション
Pop-Upショップ開催にいたった経緯をDACCOのオーナー原園さんにお伺いしました
▶︎DACCO 原園さん
一昨年、突然いらっしゃったんですよね。名前が一緒っていうだけで、たまたまご主人のご実家が熊本ということもあり、帰省された時に足を伸ばしてわざわざ来てくださいました。インスタグラムで、「あれ?ダッコってお店が他にもあるんだなあ」とは思ってました。でもまさかね、日本人の女性の方がやってらっしゃるなんて夢にも思いませんでした。
当時のことを振り返ってミャンマー・dacco.のオーナー和田さん
▶︎dacco.和田さん
お店がすごく素敵でした。ただパンを売るというだけのお店ではなく、入って左側に掲示板があったり、本が置いてあったり、誰でもゆっくりできるようなスペースを提供していらっしゃる。原園さんもとても素敵な方でした。週末は家庭のために過ごして、平日の限られた時間で提供していらっしゃったりするんですよね。
インスタグラムやサーチエンジンでの検索を通じて、昔からお互いの存在に気付いていたという両オーナー。
しかし、まさか同世代の女性がお店をやっているとは夢にも思わなかったそうです。
またお二人は共に二児のお母さんでもあります。
ダッコという二つのお店に共通する響きは、子育ての経験から着想を得ているそうです。
▶︎DACCO 原園さん
パンも意外と手のかかる食べ物で、急がせてもいけないし、手をかけすぎてもいけない。適切なところで適切にかまってあげればおいしいパンができあがるんです。ちゃんと見守ってあげるっていうのが大切なんです。子育てと似てるなっていう感じで、それでDACCOっていう名前になりました。
▶︎dacco. 和田さん
もともと、ものづくりを通してこの国の人たちとこの国のために何かできることがないかな、と思っていて、最初はミャンマーの各少数民族の織物で、抱っこ紐を作ろうと思っていました。自分が乳幼児を抱えていたから最初はそういうアイディアだったんです。抱っこ紐の話は一旦白紙に戻りましたが、お店の名前に残りました。今ではOriginal handmade items that make you want to hug “dacco”!!(ハグ=”だっこ”したくなるようなオリジナルのハンドメイド商品)を提供することをモットーにしています。
子育ての経験を出発点に、我が子を見守るような姿勢でパン作りに向き合われている原園さんと、抱きしめたくなるようなミャンマーの手作り雑貨の温もりをお客様に届けている和田さん。
今回はミャンマーのdacco.和田さんが、はるばる南阿蘇村までミャンマーの素敵なハンドメイド雑貨を持ってきてくださいました。
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